マイオカインとは

マイオカインについて調べてみました。
マイオカイン(myokine)とは、筋肉から分泌されるタンパク質のことです。
筋肉は単なる運動器官だけではなく、内分泌器官としての役割も果たしています。
筋肉が収縮することによって分泌されるホルモン物質がマイオカインです。

マイオカインは、運動による筋肉の収縮やトレーニングによる筋肥大、脂肪燃焼など、身体の様々な生理的反応に影響を与えることが知られていて、さらにマイオカインは、炎症反応や免疫系に関与するとされるものなど、様々な種類があります。
例えば、炎症反応や免疫系に関与することが知られいるインターロイキン-6(IL-6)が、運動時に筋肉から分泌されることが報告されています。




マイオカインの種類

マイオカインには、以下のような種類があります。

1.インターロイキン-6(IL-6)
炎症反応や免疫系に関与することが知られています。

2.インスリン様成長因子-1(IGF-1)
筋肉成長を促進します。

3.フィブロネクチン型IIIドメイン含有タンパク質-1(FNDC5)
脂肪分解や糖代謝に関与し、運動によって産生されるホルモン分泌を促進します。

4.バスミン(BAM)
エネルギー代謝や骨密度の維持に関与しています。

5.ミオスタチン(MSTN)
筋肉成長を抑制します。

6.イントリンジックファクター(IRISIN)
脂肪分解や糖代謝に関与し、運動によって産生されるホルモン分泌を促進します。

これらのマイオカインは、筋肉の代謝や修復、成長に関わるとされるものや、炎症反応や免疫系に関与するとされるものなど、それぞれの種類によって異なる機能を持っています。

マイオカインの効能

マイオカインは、主に筋肉から分泌されるタンパク質であり、様々な効能が報告されています。以下に代表的な効能があります。

1.代謝調節: 運動によって産生されるマイオカインは、脂肪分解や糖代謝に関与することが知られています。
例えば、IRISINは脂肪細胞の分化を抑制し、代謝を促進することが報告されています。

2.筋肉成長 : IGF-1やBAMなどのマイオカインは、筋肉成長を促進することが知られています。

3.炎症反応の調節 : IL-6などのマイオカインは、炎症反応の調節に関与することが知られています。
運動によって分泌されたIL-6は、免疫系や炎症反応の調節にも関与するとされています。

4.心血管疾患予防 : BAMやIRISINなどのマイオカインは、心血管疾患の予防に関与することが報告されています。

5.脳機能向上 : 運動によって分泌されるマイオカインは、神経細胞の成長や神経保護作用に関与することが知られており、認知機能やストレス耐性の向上にも役立つとされています。




マイオカインを分泌させる方法(1)

マイオカインを分泌させるためには、主に以下のような方法があります。

1.運動 : 運動により筋肉を刺激することでマイオカインを分泌することができます。特に、高強度の運動や長時間の有酸素運動が有効であるとされています。

2.筋肉ストレッチ : 筋肉をストレッチすることで、マイオカインを分泌することが知られています。特に、静的ストレッチ(筋肉を伸ばした状態を保持するストレッチ)が有効であるとされています。

3.カフェイン摂取 : カフェインは、マイオカインの分泌を促進することが知られています。カフェインを摂取することで、筋肉からのマイオカイン分泌を増やすことができます。

4.タンパク質摂取 : タンパク質を摂取することで、筋肉からのマイオカイン分泌を促進することができます。特に、摂取量が多い場合や、運動後に摂取することが効果的であるとされています。

これらの方法を組み合わせることで、マイオカインの分泌を促進することができます。ただし、過剰な運動やカフェイン摂取などは健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な量や方法で行うように注意が必要です。また、医師や専門家と相談することをおすすめします。

マイオカインを分泌させる方法(2)

マイオカインと咀嚼
咀嚼(そしゃく)は、食物を咬み砕き、飲み込みやすくするだけでなく、唾液の分泌や口腔内の血流増加を促し、消化吸収を促進することが知られています。

さらに、最近の研究によって、咀嚼によってマイオカインの分泌も促進されることが分かってきています。

具体的には、咀嚼によって顎の筋肉が刺激され、筋肉からマイオカインが分泌されることが報告されています。
咀嚼によるマイオカインの分泌は、年齢や健康状態に関係なく見られることが報告されています。
つまり、マイオカイン分泌促進のために、誰でも簡単に取り入れられる健康的な方法であるといえます。




マイオカインと認知症

近年の研究により、マイオカインが認知症の予防や改善に関与している可能性があることが報告されています。

まず、マイオカインの一つである「BDNF(脳由来神経栄養因子)」は、神経細胞の生存や成長に必要なタンパク質であり、認知症やアルツハイマー病の発症に関連していることが知られています。

筋肉から分泌されるBDNFは、血液中に運ばれ、脳に到達することができます。
したがって、運動や筋トレなどを通じて筋肉からBDNFを分泌させることで、脳の機能改善につながる可能性があります。

また、IL-6はマイオカインの一つであり、炎症反応を抑制する作用があることが知られています。最近の研究により、IL-6が認知症のリスク因子の一つであるアポリポ蛋白E4(APOE4)の影響を軽減することが示されています。

APOE4は、認知症のリスクを増加させる遺伝子変異であり、IL-6はAPOE4の影響を軽減することで、認知症のリスクを低減する可能性があるとされています。

まとめ

マイオカインは、筋肉から分泌される身体の調節に関わるタンパク質であり、様々な役割を果たしています。
主な役割としては、筋肉の増強、燃焼、修復、炎症反応の制御、代謝調整、免疫応答の調節、脳機能の改善などが挙げられます。
マイオカインの分泌を促進する方法として、運動やストレッチ、筋トレ、瞑想、適切な栄養摂取、睡眠などがあります。
また、近年の研究により、マイオカインが認知症の予防や改善に関与している可能性が示唆されています。
ただし、マイオカインに関する研究はまだ初期段階であり、今後さらに効能等も含め明らかにされていくことに期待します。

インターロイキン-6(IL-6)は、免疫系において様々な役割を持つタンパク質の一種です。
主に白血球や線維芽細胞などの細胞から分泌され、炎症反応や免疫応答、代謝調節、神経細胞の生存や機能などに関与しています。
IL-6は、細胞間の情報伝達や免疫応答を調節する役割があるため、炎症反応やストレス応答に関わる場合があります。
一方で、適切に調節されない場合には、慢性炎症や自己免疫疾患、腫瘍などの疾患に関与することが知られています。
IL-6はまた、筋肉から分泌されるマイオカインの一種であり、運動による筋肉の収縮に伴い分泌が増加することが知られています。
BDNF(脳由来神経栄養因子)は、
神経細胞の生存や機能に必要なタンパク質の一種で、主に脳内で作られています。
BDNFは神経細胞の成長や発達、神経伝達物質の合成、細胞間のシグナル伝達、神経可塑性の調節などに関与しています。また、ストレスや運動によってBDNFの分泌が促進されることが知られており、精神的ストレスやうつ病、不安障害などの精神疾患にも関与することが報告されています。

さらに、BDNFの減少が、認知症や神経変性疾患などの神経疾患の発症にも関与しているとされています。
BDNFは、脳や神経系の健康に必要不可欠なタンパク質であり、その機能や分泌を調節することで、神経系の疾患の予防や治療につながる可能性があります。

アポリポ蛋白E4(APOE4)は、脂質代謝に関わるタンパク質の一種で、
主に肝臓や腎臓、脳などの臓器で合成されます。

APOE4は、コレステロールの代謝やトリグリセリドの
運搬、細胞膜の構造や機能の調節などに関与しています。